Situle thạp

Entre -500 et -50
Bronze
Jarre
Legs : Ledoux, Pierre

M.C.2008-7

このタイプの青銅の器は「シテュール」と呼ばれている。ラテン語の「シテュラ」から派生した語で、「骨壷」あるいは「桶」を意味する。もともとは古代ヨーロッパと地中海の様々な文化を出自とする品に使われた名称だが、形が似ていることと、とりわけ模様の帯が重ねられていることから使われている。ベトナム語では「タプ」という言葉で呼ばれている。
この器は食料品、おそらく液体を保存するために使われたのだろう。なぜならかつては凸状の蓋がついていて、蓋の小さな水平の手が器の胴体についている垂直の手に紐か鎖で繋がっていたようだからだ。このタプの蓋は発掘時に壊れたか失われたかしたとしても、全ての「タプ」シテュールは蓋を備えていたようだ。
装飾は軽く浮き上がっており、幾何学的な模様を持つ4つの帯が重なっている。シンプルな線に、縦の線条を組み合わせたものと中心に点のある円を接線でつないだ模様で構成されるものと、二種類の文様帯が加わる。この装飾言語は、タプ型シテュール、トー型シテュール、銅鼓、武器、装身具など、ドンソン文化の青銅の品々の上に繰り返し洗われる。。
軽く浮き上がった縦のラインが器を二つの部分に分ける。装飾の線はここではつながらない。器の下にもみられるこの長いつなぎ目は、ひとつの鋳型から二つの部分が鋳造されたことを示している。見込が最も薄くなっているところにある小さい穴は気泡または溶かされた金属のなかの不純物によって出来たものだろう。
他のタプ型シテュールには大きな羽を頭につけた人間たちの乗る小舟の模様がついている。ダオティンで見つかり、ハノイのベトナム国立歴史博物館に収蔵されているシテュールの蓋の上には、つがいになった二人の人物が浮かびあがっている。このような細部はこれらの器が豊穣の祭の際に使われた高貴の品で、持ち主が亡くなったあと、その人物が社会において重要であったことの明らかな徴として墓に入れられたものだろうと考える手がかりとなっている。

Reference(s) : レー・タン・コイ 『ベトナム チェルヌスキ美術館のベトナムコレクション』 パリ、Paris-Muséés (パリミュゼ);Findakly(フィンダクリ)刊, 2006. p.19
ルイ・バザシエ、『先史時代から中国占領終了までのベトナム』 極東考古学の手引き 第一部 東南アジア、第2巻、ファクシミリ1 Editions A. et J. Picard(A&J・ピカール社刊、パリ 1972年 p. 143-146.
(共同執筆), 『コーヴァット ベトナム 古代ベトナム』 ベトナム国立歴史博物館、ハノイ 2003. p.62-65
『龍の飛翔 ベトナム王室芸術』、パリ、ギメ美術館企画展2014 /ピエール・バティスト監修。 パリ、ギメ国立アジア美術館 ; Gand巡回 Snoeck-Ducajou(スノーク=デュカジュー)社刊 2014. p.21