Verseuse

Entre 1100 et 1400
Grès, Céladon
Verseuse
Achat

M.C. 2016-66

この水差しは胴が卵形で、南瓜のシルエットを思わせる六本の縦の溝がついている。この溝は同時代(11世紀から13世紀)のベトナムと中国の作品に多かれ少なかれ認められるものだ。
肩の上には水差しの開口部の両側に、注ぎ口と耳が等距離、同じ高さについている。これらの付けられているところは二つとも肩の上に刻まれた二重線で強調されている。三つ目の二重線は水平で、水差しの膨らんだ腹の部分が、広く、短く縁取りのある円形の脚につながるために細くなるところに記されている。蓋は損傷された。
肩の上、上部の二重線と縦の溝が交わるところにある耳と注ぎ口から等距離のところに、横腹の両方に小さい花模様の盛り上がりがある。
注ぎ口はマカラ龍の頭を象った装飾を施され、その首が上にむかってくねくねと伸びている。この手の、道具をその機能が近い動物の形を借りてユーモラスにに変容するのは、ベトナム陶芸の特徴である。交趾時代以来、壷器は中国から来てベトナムに定着したが、そのときに象の頭を模したプロトメを注ぎ口として付けられている。
耳は焼成以前に肩の上に泥漿で付けられており、唐の時代あるいはベトナムにおける安南時代(8世紀から10世紀)の水差しを想起させる。平たくて広く、中央に突起があり、金属でできたモデルを鎚でたたき、鋲打したものを思わせる。
水差しの胴は砂まじりの陶土の非常に純粋な白いもので出来ており、わずかに完璧でなく不規則なところが見られる。これはベトナムの品によくあることだ。釉薬は透明で輝きが強く、貫入が深く入っている。鉄酸化物の度合いの高いことが、ちょうど脚の上になる、下部の膨らみの切込み部分や傾斜したゾーンにある雫など、釉薬のたまった部分が非常にはっきりしたオリーブ系緑色をしていることで分かる。
この水差しには蓋が残っている。これはかなり珍しいことなので強調しておく。この蓋は蓋より狭い開口部の上に単に乗せられているだけだ。頂上は平で、真ん中に小さい突起がある。その広い縁は四つの花弁形切れ込み模様で挟まれ際立たせられており、金銀細工と葉のうねりや花びらを示している。内側は、釉薬がかかっていない素地が、焼かれて赤くなったままである。素地が最も厚い部分に焼成による円形のひび割れが見られる。外側は陥没した部分に釉薬がたまって青緑色を呈している。

Reference(s) : モニク・クリーク  『ベトナム チェルヌスキ美術館のベトナムコレクション』 パリ、Paris-Muséés (パリミュゼ);Findakly(フィンダクリ)刊, 2006. p.126.