Cosmic Family

Lebadang, né en 1921 à Vietnam ou Việt Nam, décédé en 2015 à Paris

2009
Peinture à l'huile, Toile (matériau)
Peinture
En bas à gauche : sceau rouge, signature et date.
Don manuel : Lebadang, Myshu

M.C. 2015-54

2001年ごろ、当時80歳のルバダンは生涯かかわって来たと思われる複数のテーマの穏やかな総合を見せる最終期に入る。全面一色のように見える背景の上に、輝くタッチで、濃く、明るく動きのある微細な物質をほのめかす。それは潜在的に形の萌芽を含んでいるようだ。仏陀の平穏で内向的な顔がそこから現れる。仏からは天体に向けた満ち足りた顔だけが残る。厚くめくれた唇の線の優しさは古いクメールの彫像を思わせる。この画家がアンコールにした旅行とパリの美術館巡りから来た思い出だ。
仏陀のシリーズに続くのは『コスミック・ファミリー』のシリーズだ。仏陀の顔の善意のすぐ近くに、画家は子どもを抱いた一組のカップルの姿を置く。光の効果が、磨いたイノックスの彫刻を思わせる。それは1980年代以来、繰り返し取り上げて来たテーマだ。まわりの世界を鏡の表面に映して、この作品群は素材の堅固さにもかかわらず、はかない。感覚のイリュージョン、それは本質は虚しく、絶えず姿を変えるという世界の仏教的概念と響き合う。ここでは二次元の世界に移し替えられ、前景にいる者が仲介となって、光線によって引き裂かれたこの計り知れない青い背景に目を惹き付ける。光は絵の具を塗られた表面の下から湧いて来るかのようだ。芸術家が直感的に捉えた究極の精神世界である。