Faucon

Anonyme

Entre 1368 et 1400
Soie, Encre, Couleurs - Pigments
Peinture
Achat en vente publique

M.C. 6095

独り、岩の上に止まった隼(はやぶさ)が尊大な様子で波打つ海を見下ろしている。羽毛を厳密に描き波は様式化した動きにする対照的な筆致が、鳥の不動の姿勢と揺らめく水の表面の対置を強調している。全体は力を印象づける。
古代中国では、禽鳥は包括的に「鷹」の語によって表されることが多かった。そのため、高台に一羽だけいる猛禽を描く絵は伝統的に「英雄独立」と題され、天下に並ぶもの無き傑出した存在を表す。
猛禽はすでに4世紀に中国絵画に現れるが、孤高の鷹の表象はおそらく徽宗(1101-1125年)の治世に定着した。今日では、この様式の絵のどれかを有名な「皇帝=画家」のものであるとすることは不可能だが、それでもコピーと文献がこの表象の重要さを証明している。これらの作品においては、鷲の頭の上に「御筆」と描かれて皇帝の印章が押してある。統治者の力を反映する画は文化政策的意図もあったのだろう。
チェルヌスキ美術館の絵は、この伝統に属する。柱や中回しはいつだか分からない時代に区切られたものだが、本紙には宣和(1119-1125年)の印章の跡を残しており、「御筆」とも書かれている。このような不完全なものをベースにして年代を決めるのは難しいが、一方、様式的にこの絵と非常に近いものが台北の故宮博物館にあり、それが14世紀のものと確定する理由になる。

Reference(s) : エリック・ルフェーヴル『中国絵画の6世紀,チェルヌスキ美術館修復作品』 パリミュゼ 2008年, p.18-19