Boîte

Anonyme

Entre 1000 et 1100
Grès, Gravé = incisé, Céladon
Boîte
H. 5.5 x D. 11.5 cm
Don manuel : Héliot (Monsieur)
M.C. 6374

このレンズ状の箱は、浙江省の南にある、かの有名な越州窯の作品である。窯入れのときに、匣鉢の内部でトチの上に縦に置かれていた。蓋は口縁とはトチで分けられて焼かれた。箱にはオリーブ色の釉薬の薄い層がある。嵌め込み装飾は芍薬の花で、つぼみの形をした6つの小さな雲に取り巻かれた二重線で囲われている。この形は唐の時代に遡るが、この時代の作品は一般にもっと背が高く、切込みの線はより細い。
これに近い装飾を持つ蓋が浙江省の寺龍口窯から出土している(浙江省文物考古研究所、2002年、p.339, 図版132 6番,)。また寺龍口では、莟の形の雲の装飾が、11世紀末または12世紀初めと考えられる椀の上にも見つかっている(同、p.128、図版75、 5番およびp.351).
越州窯の青磁は7世紀と8世紀にいったん衰退した。中国北部で作られた白磁と三彩の人気の煽りを受けたようである。越州窯の青磁が復活するのは9世紀からで、中国における茶の流行と関係があるかもしれない。
太平興国の7年目(982年)、中央政府は越州窯に視察官を一人送った。これは陶磁器生産に関する中央政府の監督に関する最も古い言及である。宋政府は、越州窯に直接注文を出して窯を刷新する。とりわけ2つの宋にまたがる時代にそれを行った。寺龍口窯の南宋の地層からは「官」の銘がある匣鉢が発掘されて、この窯で生産されたものの一部が官製であったことを示している(同、p,291、図版、カラー441)。

Reference(s) : 蓑豊(みのゆたか),キャサリン・R・トサイアン,『氷と緑の雲:中国青磁の伝統』 インディアナポリス,インディアナポリス美術館,ブルーミントン,インディアナ大学出版会,1986年
メアリー・トレジャー,『オクスフォード大学アシュモレアン博物館の中国青磁カタログ』 オクスフォード,クラレンドン・プレス,1976年
王光堯, 『宋代官窯制度初探』 文物, 2005, n°5, p. 74
浙江文物考古研究所,『寺龍口越窯址』 北京 :  文物出版社, 2002