Porteuse d'offrande

Entre 960 et 1127
Terre, Couleurs - Pigments
Peinture murale
Achat

M.C. 9259

右側は縦の赤い線、左側は雲のような渦巻き模様で囲まれた板のようなものに、女性が一人描かれている。立ち姿で全身の4分の3くらいが現れていて左の方を向いている。両手にあまり深さのない皿を持っているところからおそらく召使いだろう。
髪は高い髷にまとめれて頂点で二重のアーチを作っている。鬢だけが描かれて耳の前に垂れている。顔を大きく出した髪型は、同時代の中国人女性の髪型(梁、 1998年、p.54 、 図5) と対照的である。後者の髪型はむしろ膨らんでいて顔を包んでいる。女性の左耳には輪が飾られている。遼の女性が耳輪をしているのは、宋から送られて来た人々をたいへん驚かせたことのひとつである。jia JingyanはそのLu zhen cheng yao lu shu zhengのなかで、皇后は翡翠の耳飾りをつけ、その侍女たちは金の耳飾りを着けていたと記している(Wu、1991年、p.67)。ここに描かれた女性はすらりとした体に赤い裏地のついた真っすぐな上着を襞のついた寛衣の上にまとっている。
そして長い肩掛けをかけている。この衣装は宣化(シュエンファ)区の墓の壁画には何度も現れる。これは中国人女性にも契丹人女性にも着用されたようだ(Zheng、1997年p.114, 図8 : 1093年の墓、左に椀を持つ女; p.119 図15 :同墓: 左に鏡を持つ女 )。
板の左側は欠けているところがあり、内容が何であったのかはよくわからない。雲のような渦巻き装飾は様式化した植物模様と考えることができるが、遼の時代にはこうした抽象的な解釈は稀ではある。
この断片はチェルヌスキ美術館に保存されている別の断片(M,C,9258 : 中国、馬と人間、1995年p.88)で琵琶を持った女性を表したものとセットになっているかもしれない。ほかに2つ、似たものがある。サンドニ歴史美術館にあり、リオネル・ジャコブ・コレクション(同 p.86,87)から来たものである。これら4つの画版は20世紀初めにはヴィニエ・コレクションに入っていたもので、同じ埋葬品に属していたのではないかと思われる。

Reference(s) : 『中国 : 馬と人間,ジャック・ポランの寄贈品』 パリ:RMN,1995年,p.89, 図版30
梁子 「遼代茶文化的特點」 月刊『故宮文物』16巻,第3号(183号),1998年。