Boucle de ceinture
Bronze, Fonte à la cire perdue
Parure, bijou, Boucle de ceinture
L. 5 x l. 4.6 x H. 3.2 cm
:
M.C. 11814
この作品は鎚で叩いて延ばした薄い金箔でできており、飾りに細かい石がついている。そのうちいくつかはトルコ石である。このプレートには堅い芯がついていた。プレートの裏にところどころ残っている有機物の跡から察するに、芯はおそらく革でできていた。
形は、漢の時代のベルトのバックルとしては典型的なもので、右端に膨らみがあって、布が通る縦の割れ目を強調している。留め金がついていたところはよく見てとれる。文武廟の絵の描かれた板(Sun Ji, 1994, n°1, p.62)はバックルのひとつについた布のベルトが2つ目のバックルの割れ目にどのように入れられるかを示している。布はバックルの留め金で留められてから反対側に折り返され、それから結び目を作り、端は垂直に落とされるのだ。
このようなバックルは湖南省や新疆でも朝鮮北部でも発見されている。チェルヌスキ美術館のバックルの装飾はしかしながら、よくある例とは異なる。ふつうは多少とも螺旋を描き絡み合う龍を表すのだが、ここではそうではなく一対のネコ科の動物が表象されているのだ。牝は右側にいて雄の方を振返るかたちで向き合っている。雄はその大きな立て髪でそれと分かるが、闘うためか求愛行為のためか右前足を上げている。野獣の種類は議論の的である。毛並の上の縦の縞は虎を思わせるが、この仮説を採用すると雄の立て髪がまったく自然に反することになり、神話的あるいは純粋に装飾的な理由からしか説明できなくなる。
バックルの表面の残りの部分は渦巻きと他の動物たちが描かれている。左上方には鳥(?)が、右上方には龍(?)が、そして右端に沿っては2匹の蛇がいる。これらすべての動物の模様は、ステップの芸術を思わせる。こうした異国情緒のあるテーマが漢の時代には帝国の内部で流行した。他の金銀細工の作品は、中国で作られて北辺に送られ、匈奴の王族やその他の異民族の長たちに珍重された。
ジル・ベガン,『チェルヌスキ美術館のアジア芸術』, パリ,Paris-Musées(パリミュゼ)/Findakly(フィンダクリ)刊, 2000年, p.60-71, 204。
『チェルヌスキ美術館,1993-2004の中国美術取得作品』Paris-Musées(パリミュゼ)/Findakly(フィンダクリ)刊, 2005, p.63-64。