Tête de Bodhisattva

Anonyme

Entre 1400 et 1600
Grès, Taille = taillé
Statue
Achat

M.C. 2008-3

中国の最後の3王朝の彫刻は、専門家たちによって長い間軽視されていた。彼らは古い時代の作品に魅了されていたからである。この時代の作品は様式的な革新がなく、中国への仏教導入後数世紀間の創造に見られる神秘的な内面性もみられず、多くの作品がステレオタイプではあるが、それでもいくつか例外的な作品はある。
フランスの古いコレクションから来たこの仏頭は、その例である。これは菩薩像の頭であった。大乗仏教においては、霊的に「悟りを約束された」者は輪廻のサイクルのなかで下位に落ちることはあり得ないが、同情心から、完全な解脱を諦め、衆生一切を救おうとする。菩薩の「十波羅密」は修行徳目である。菩薩信仰は、信仰する者に人生の困難を乗り越え、魂の進歩を導く。なかでも重要な菩薩の一人、観音菩薩は中国では道教の女神と同化し、両性的な外観を持つ。その表象は数えきれない。チェルヌスキ美術館の仏頭は髪の先に化仏はないが、観音菩薩であろうと思われる。
この作品が見る者の目を打つのは、顔立ちの美しい様式化、鼻梁の完璧さ、半眼の表現する内面性、人間たちとの距離を表しちょっと怒ったような口元の表現のためだ。丁寧に仕上げられた髪は、後ろまでも平行する線条が描かれていて、全体の完成度を高めている。
3世紀から7世紀のめまぐるしい様式の革新の後、中国における仏教美術の規準はおよそ700年ごろに固まった。唐(618-907年)の時代の偉大な作品は現在に至るまで仏師たちが繰り返し手本にするものとなった。教科書的な再生産とは違い、才能ある工房はこの規範に多くのヴァリエーションを付け加えた。14世紀から19世紀の中国仏像史の多くのページは、まだこれから書かれなければならない。まだ分かっていないことが多く、いまだ学術的には定まらない過程にあるので、この作品の年代は慎重に明代(1368-1644年)の初めとしておくのが良いだろう。しかし質の高さを考慮して、宋代(960-1279年)のものとする専門家もいる。

Reference(s) : ジル・ベガン,「チェルヌスキ美術館の活動」Arts Asiatiques (アジア芸術),2008年 61号 p.110-111