Pot à chaux

Entre 1400 et 1700
Grès
Pot
Don manuel : Huet, Clément

M.C. 8242 A

ベテルを噛む風習は、ベトナムには古来から広く行われており、文字が使われるよりも古く、中国の影響を受けるよりもずっと古い。香りが強く刺激的なベテルは3つの成分で作る。細かく切ったビンロウの実が石灰石をネッセて得られる石灰と混ぜ、それをベテルの葉で巻く。ベテルはインドと中央アジアで栽培されるつる性の胡椒の一種である。ここに見る壷は、中に小さなスパテラを使って採られた石灰が入っていた。形自体がベテルのかみたばこの3つの成分を想起させる。丸くて白い胴は石を象徴し、耳はビンロウの木の幹のようで、そのまわりにベテルのつるがめぐっている。耳の付け根に施されたビンロウの実の浮模様は、この壷の肩に広がってる。ベテルのかみたばこを使う風習は、これに付随した品がさまざま作られた。石灰用の壷はそのひとつである。ベトナム特有の品で、家庭をまるごと象徴し、家族の社会生活から生まれたものだ。ながいこと日常的に使われていたが、今日では数少なくなり、農村部を除いては消滅してしまった。
壊すと不幸を呼ぶというので、割れると丁寧に扱われる。
決して捨てられることはなく、家族や村や寺院の祭壇に置かれる。