Cloche

Anonyme

1311
Bronze, Fonte
Instrument de musique, Objet religieux
Legs : Cernuschi, Henri

M.C. 982

この鐘は、高麗時代の洗練を代表するものだが、西洋のコレクションにあるもののなかでは珍しく日付がついている。

高麗王国(918-1392)の青銅の鐘は、統一新羅(668−935)時代に作られたものを引き継いで、朝鮮における仏教の繁栄を物語っている。仏教が宮廷からも人民からも施しを受け、そのおかげで僧院は装飾美術作品の傑作であるこれらの鐘を鋳造したのである。横からみると少し膨らんだ形をしており、鉤は龍の形がチューブ状の部品に繋がれている。この部品は音響効果を高めるためのもので、ガンガン鳴らさずに僧たちの生活の時を刻んでいた朝鮮の鐘の特徴ともなっている。
チェルヌスキ美術館が保存している鐘には日付がついていて、1311年のもののようだ。その不器用な付け方は、制作されたよりも後で付けられたものだと想像させるが、鐘の鋳造からそれほど隔たってはいない時に付けられたものだろう。ずんぐりしたシルエットや頂点の襞飾り、そしてあまりはっきりしない浮き上がり模様が指し示すのは、13世紀後半から14世紀に作られたらしいということだ。
アンリ・チェルヌスキは世界旅行の際に朝鮮には立ち寄らなかったが、その際に彼のアジア芸術コレクションの根幹となるものを集めた。この鐘は、中国か日本で購入したものだろう。ただならぬ黒い変色は、この鐘が本来の使われ方をしていなかったことを表しており、チェルヌスキに購入される以前にすでに誰かに美術品として所蔵されていたと思われる。

Reference(s) : ジル・ベガン、『チェルヌスキ美術館のアジア美術』 Paris Musées(パリミュゼ)/ Findakly(フィンダクリ), 2000, p.196
Author of the record : Mael Bellec