Cheval

Entre -206 et 9
Couleurs - Pigments
Statuette, Mingqi
Achat

M.C. 9829

この大きな木製の馬は、経年劣化で脚が崩壊してしまっているが、武帝(即位紀元前141-87年)が紀元前102年に使いを送って得ようとした、中国人がトランスオクシアナの駿馬と思っていたものの完全なイメージを伝えてくれる。新馬を得るための種馬探しがシルクロード(中国人にとっては馬の道)をもたらし、中国に多数のテラコッタや石や、もっと数は少ないが木製の馬の埋葬品を残したのである。
チェルヌスキ美術館は、もう1体、脚のない馬を所蔵している。素材はテラコッタで長さ57cm(M.C.XXXXX)。もしかしたら脚は木製で、消失したのかもしれない。
色彩のついた装飾がついてはいるが、これらの馬のいくつかは革や絹をまとっていたようだ。「神々しい」頭の綿密な肉付けに関心が注がれており、体の方は荒削りで仕上げが簡素なところがそれを説明している、
戦前に発見された物の場合によくあるように、外装や彩色はまったく跡をとどめていないが、この馬は2つの部分に分かれて見える。体と、首につながった頭である。
この木製の馬は、3つの部分でできている。臀部と胸に広く肉付けした大きな体、首、そして小さく、美しく生気がみなぎっている頭。頭には黒い輪郭線があり、生き生きした稜線の立体を強調している。口の縁が歯の上にめくれて笑っている表情を作っている。これは西ではもっとよく見られる表現である。また、ベージュと黒の色彩の痕跡が、馬具と鞍がついていたのではないかと思わせる。
木製の馬の姿が発掘で見つけられることはたいへん珍しい。とはいえ、広州、江蘇省、湖北省、甘粛省など様々な地方で見つかっている。
考古学的コンテクストを一切欠いているので、チェルヌスキ美術館の作品に正確な出自を与えるのは難しいが、武威市(甘粛省かんしゅくしょう)にある磨嘴子の墓地で見つかったものとの比較が注目されている。
デューミン・イム氏による研究(1999)により使われた木は正確につきとめられた。表層的な検査では檜と思われていたが、そうではなくトウヒ(マツ科)である。

Reference(s) : ジル・ベガン,『チェルヌスキ美術館のアジア芸術』, パリ,Paris-Musées(パリミュゼ)/Findakly(フィンダクリ)刊, 2000年, p.76。
マリー=テレーズ・ボボ,『既知と未知の中国:チェルヌスキ美術館,10年間の蒐集』,パリ,Paris-Musées(パリミュゼ),1992,p.114-117。