Coffre

Anonyme

Entre 1600 et 1644
Bois (matériau), Laque, Nacre
Coffre
H. 71.8 x l. 95.2 x P. 63.6 cm
M.C. 9932 A
Donation sous réserve d'usufruit, Brunau, Simone

大箱 (MC 9932 a et c)は、脚がなく、フランス式に扉が開く基台 (MC. 9932 b et d)に載っている。漆を塗った黒い大箱の正面は、岩の上に止まって尾羽を広げた鳳凰の荘厳な装飾が施してある。岩には花の咲いた灌木がのぞいている。全体が、螺鈿の大きな断片をはめ込んで作られている。基台の上にも似たような花の装飾が認められる。花の蔓模様の細い文様隊がこの小キャビネットの正面を囲んでいる。このディテールは大箱そのものには現れない。
この家具が取得されたのは20世紀の北京だが、作られたのは中国南部、江西省ではないかと思われる。
漆器などの表面に青貝の殻の内側の真珠色の光を放つ部分を薄く種々の形に切って嵌め込んで装飾とする技術 (螺鈿)は、唐の時代 (618-907年)に現れ、後続の王朝のもとで様々に応用された。『格古要論』 (1387年)という手引書がこの主題について様々な考察を行っている。明朝(1368-1644年)の最後の数十年の間に、螺鈿技術はとりわけ美術愛好家に好まれた。
かつて C.T.ルー・コレクションに属していた16世紀から17世紀初めの大きな肘掛け椅子は、これらの大箱と同じ小さい花の飾りが施してある。
同じ技術は朝鮮でも使われた。装飾が螺鈿の枝模様で、側面が小さな花の文様帯で飾られた15世紀と考えられる箪笥が2つ、京都の Tōgandō (?)コレクションに収蔵されている。

Reference(s) : ジル・ベガン,「チェルヌスキ美術館の活動」Arts Asiatiques (アジア芸術),1997年 52号 p.133-134
セシル&ミシェル・バードレイ, 『中国家具調度』, フライブルク, 書籍局, パリ, ヴィロ, 1979, p.114; p.116, 図版158
「左岸の宝物」: Galeries d'art et antiquaires 芸術と古物のギャラリー, 9号, 最新の取得物 2004, 2004
ボンハムスとバターフィールズ, 『アジア装飾美術』, (サンフランシスコ競売 2004年10月5日), p.27, 64, 4196番
アレクサンドラ・マンロー, 『デ—ヴィッド・キッド: 蒐集家, 作家, 東洋学者』, Orientations, 1998, 29巻3号, p.108
ジル・ベガン(監修)『チェルヌスキ美術館,1993-2004の中国美術取得作品』Paris-Musées(パリミュゼ)/Findakly(フィンダクリ)刊, 2005, p.136-137