Verseuse

Entre 1200 et 1400
Grès, Décor peint sous couverte
Verseuse
Achat

M.C. 2015-55

14世紀、中国ではモンゴル人の王朝、元が君臨していたころ、酸化コバルトで絵や文様を描く釉下彩の陶磁器の技法が完成した。隣国の大越がこの新種の装飾を取り入れるのに時間はかからなかった。
この水差しは型に入れるか切込みを入れるかして作った装飾のついた単色の炻器と派手な装飾が国内においても輸出においても成功の鍵となった「青白陶器」との過渡期の特徴を持っている。肩の上にほんの少しつけられた灰青色の顔料は、上と下に二重線で囲まれた非常に様式化された植物の文様帯の始まりである。純度の高い酸化コバルトの輸入には費用が嵩んだので、地元でマンガンとコバルトと鉄の混合物を開発したのだろう。それがおそらくこの鈍い色の理由である。水差しの球形の腹がすみずみまで筆で装飾されている一方、鋳型で象った注ぎ口と中央が膨らんで縁取りがされた唐草模様の形をした耳は金属で作られたモデルに由来する。注ぎ口は、首が上にむかってくねくねと伸びている様式化されたマカラ竜の頭の様相をしている。道具をその機能が近い動物の形を借りてユーモラスにに変容するのは、ベトナム陶芸の特徴である。